導入インタビュー

金融機関では、何をもって環境対策になるのだろう?

野村證券株式会社
野村グループ本部コーポレート・シティズンシップ推進室長
山川敦子様

御社の環境への取り組み、CSR(Corporate Social Responsibility;企業の社会的責任)に関して、現在どのように力を入れているのか、お教えください。

CSR全般としましては、環境対策、ひと・社員との関わり、金融経済教育を三本柱としております。 野村グループとしては環境対策をCSRの大きな柱のひとつとして、東京、アジア、欧州、米国で、グローバルに取り組んでいます。具体的な活動はまずは現地主義で行っています。例えば、欧州ならば全体の環境パフォーマンスを上げていく活動を、アジアは、一人一人の意識を上げていく活動に力を入れるなど、基本的なコンセプトを共有しつつ、それぞれの地域にふさわしい、もしくは、地域で必要とされる施策を打ち出しています。

そのような活動の一環として、グリーン電力を導入されたきっかけとは何ですか?

環境への取組みを考えるにあたり、当初私たちのような金融機関というサービス業では、環境への取り組みという具体的イメージがなかなか湧いてこないという意見が社内でも多くありました。 グリーン電力の導入は、「金融機関では、何をもって環境対策になるのだろう?」ということがポイントでした。

たとえば、社員一人一人が節約を心がけるのは重要です。しかしながら目に見えた効果は、認識されにくいものです。また、あまり認知されていないのですが、金融機関として本業を通じて環境を支援するという取組みも行っていました。

そのような状況の中で、グループ全体として何か象徴的なことができないか?と考えていました。“象徴的”というのは、その施策を行うことで外部の方が「野村グループは環境を考えている」と分かり、また、社員も「自分の会社がこんなことをやっているんだ」と意識できる活動ということです。

その中でグリーン電力証書は理想的でした。 また、既に多くの企業がグリーン電力証書を取り入れている現在、導入するからには話題性も持たせたいと考え、高輪の研修所の100%と、日本橋本社ビルの50%に、グリーン電力を導入しております。

グリーン電力導入に当たって、苦労をされたことはありますか?

グリーン電力証書というのは、勉強をすれば「面白いシステムだな」ということが分かるのですが、社内で説明をして認識してもらうプロセスはなかなか大変でした。 環境対策としては、植林をするなどといった分かりやすい活動もありましたが、現実的に使用する電力が激減する環境にはない中、環境負荷低減のために国内での自然エネルギーがさらに普及していくためには何が必要か、という問題意識は強くありました。グリーン電力証書の購入はそうした国内の自然エネルギーの発電事業の支援につながる点や、また、実際に稼動している仕組みを有機的に稼動させていくという点が、導入決定の最終的なポイントとなりました。

電気は金融のお金と同じように流れが見えないため、“ここに流れている電力はグリーンだ”とはなかなか言えません。そのような中で「グリーン電力を買う」と言っても、なかなかうまく伝わらずに、苦労をしましたね。

野村證券様の社内で、グリーン電力が浸透してきたな、という実感はありますか?

グリーン電力証書の導入時に説明をしたこともあり、社内の意識は変わってきたと思います。 定期的に開催している勉強会などから認識が広がってきていると感じています。「グリーン電力マークを名刺に入れたい」というリクエストも増えてきました。 お客様や株主の方々に広まってきていると感じますか? CSRレポートの制作や講演会を開催しておりますので、CSRの関係者の方やSRI(社会的責任投資;Socially Responsible Investment)の関係者をはじめ、多くのお客様に広く認識していただけた実感があります。

グリーン電力はまだまだ課題のある仕組みではありますが、今後、期待されていることについてお聞かせください。

グリーン電力証書の購入が「企業が環境対策に取り組んでいる」というアピールにとどまらず、 “この企業はこれだけCO2を削減している”とお墨付きをもらえるような、公的な認証システムがあれば、より需要が高まるのではないでしょうか。

現在は、企業としての環境の取り組みが見せにくい、けれど、社会からは期待をされているという状況です。国内での経済活動が大きくなれば必然的にCO2の排出量が増えていく中で、どうやって減らしていくか?を実現していくために、グリーン電力証書は素晴らしいシステムだと思います。このような素晴らしいシステムを続けていただくためにも、我々がお手伝いできることをしなくてはと考えています。今後は、企業として取り組んでいる姿勢を行政でも理解してもらい、国内の運用システムとして認定してもらえるようになれば良いですね。

社内説明に苦労されていた1年前とは違い、社内の見方も変わってきたそうです。今後もグリーン電力を支えていただいているお客さまと一体となって、自然エネルギーの普及を進めていきたいと思います。

(2006年インタビュー)

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