導入インタビュー

風力発電は象徴、環境貢献はまず身近なところから

松山油脂株式会社
代表取締役社長
松山剛己様

グリーン電力証書導入はエコプロダクツから

グリーン電力証書システムを知ったのは、一昨年のエコプロダクツ(毎年12月にビッグサイトで開催される日経新聞主催の環境イベント)でした。ちょうどその時期、山梨県富士河口湖町に、当社にとってふたつめの工場を建設する計画がありました。建設地が南斜面なので、太陽光発電ができないかと会場を見て回っていたところ、風力の模型が見えて、立ち寄ったのが日本自然エネルギーのブースでした。

当社は以前から池内タオル社とお付き合いがあり、同社がグリーン電力を導入されていることも知っていました。「これが池内タオルさんのやっているグリーン電力か」と思い、興味を持ったのが始まりです。結局、太陽光発電は初期投資の大きさから断念し、グリーン電力証書という選択をしました。

風力発電は環境貢献の象徴

「無添加せっけん」をはじめとするボディケア・スキンケア製品等を製造販売する当社では、原材料を仕入れる、製品をつくる、出荷するという日々の活動の中で、原材料の歩留まりを上げることや、いかに無駄を省くかといった取り組みを、以前から行なってきました。ホテルで使用された石けんを回収してリサイクル石けんをつくることも行なっています。しかし残念ながら、安定的な回収・製造・利用には至っていません。

また、固形石けんの原料の一部としては国産牛脂も古くから使用しています。牛脂を使用した石けんは低刺激で洗浄力にも優れているほか、地産地消という観点からも意味のあることなのですが、お客さまのニーズはおもに海外産である植物油を原料とした石けんに傾きがちです。

当社が行なっている地道な活動をお客さまにどうご理解いただくか。そのような中で風力発電は象徴的です。雑誌記事でも、最近、風力発電に参加していることをよく取り上げていただくようになりました。風力発電というと、自然と風車が思い浮かびます。風車のまわる光景から、当社の環境への配慮を連想していただく。お客さまにとっても印象的であるし、言葉で説明するよりわかりやすい。当社にとっても効果的です。

スタッフの環境意識が変わるきっかけに

風力発電への参加は、お客さまに対する効果以上に、スタッフの意識を変えるきっかけになったと思います。風力発電に参加しているからには、まず自分の身の回りをきちんとしなければいけないという意識から、社内で5S委員会ができました。また、アイドリングをやめる、電気をこまめに消す、ものを大切にする、ゴミを減らすなど、できるところから一人一人が実践しています。

風力発電を導入している富士河口湖工場のスタッフは、とくに敏感なようです。今年も富士山の山開き前日の土曜日に、駐車場や構内道路、工場周辺や旧登山道の清掃活動を行なったのですが、30人以上が参加してくれました。

ある講演を聴いて段ボールの仕入先を変更

先日、パタゴニアの創業者の方の講演を聞く機会があり、なるほどと思ったことがあります。「オーガニックコットンよりポリエステルの方が環境にやさしいことが分かりました。」というところからお話は始まったのですが、「ポリエステルのほうが素材の物流距離が短く、何回も再生使用できて商品原料としてのライフサイクルが長いため、環境にやさしい。さらに、もっとも環境負荷が大きいのは物流。ロスアンゼルスで販売するTシャツを東海岸でつくる、中国でつくってアメリカへ送るなんてことはしない。その物流のためにどれだけエネルギーを使い、CO2を排出しているかを意識することのほうが、原料はコットンがよいかポリエステルがよいかということより大事。自分たちは東海岸で売る商品は東海岸でつくり、西海岸で売る商品は西海岸でつくって、物流にかかるエネルギーの削減に力を入れていく。」と。

当社の工場は、東京都墨田区と富士河口湖町の2ヶ所にあります。これまでは、富士河口湖工場で使うダンボールも、墨田工場と同じメーカーからまとめて仕入れて運んでいました。しかし、このお話を聞いて非常に恥ずかしくなり、今年の8月から地元のダンボール工場から調達することにしました。

また、資材コスト削減のため、製品の容器を台湾から仕入れる計画もあったのですが、中が空気の容器を海外から輸入することの無駄を感じてやめました。タンカーで重油を燃やしながら容器を運び、港に着いた容器がさらに墨田と富士河口湖の工場までトラックで運ばれることを考えると、物流距離が短くて済む距離にパートナーを見つけ、そこから買い入れることのほうが重要だと感じたからです。

環境貢献は身近なところから

富士河口湖工場建設の際には、木を何本も伐採しました。それらは現在、敷地内の枕木として使ったり、根とか水分の多い枝葉部分は、乾燥させて薪ストーブの燃料として利用しています。敷地にはあらたに苗木も植えました。また、富士河口湖町に工場をつくったご縁から、山梨県内限定販売の商品を発売しました。山梨県産の桃の葉を乾燥させ、それから抽出したエキスを配合した、地産地消の石けん・ハンドソープ・ハンドクリームです。地元の資源を有効活用するのは非常に大切なことだと思います。

日本は今でも6割が森林といわれているほど、緑豊かな国です。最近、里山を見直そうという活動もさかんですが、子どもたちに対して、50年、100年先の次世代に対して、今できることをやっていければと思っています。グリーン電力もその1つだと考えています。

(2007年インタビュー)

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