発電所レポート

自然エネルギー発電所めぐり(岐阜編)

このたび目指すは岐阜県。今回は東京駅を出発しJR東海道新幹線で名古屋駅を下車、JR高山本線で岐阜駅、美濃太田駅を経由して目的の地、下麻生駅を目指しました。

岐阜から美濃太田の間にさしかかったころ、「犬山城が右手に見えます。」との粋な計らいの車内アナウンス。読者の皆さんには、岐阜駅から飛騨高山方面へ向けてJR高山本線に乗車する際は、進行方向右の窓席をお勧めします。 ちなみに、犬山城の最寄り駅はJR高山本線の鵜沼駅。今回は特急のため、残念ながら通過となりましたが、プライベイトの訪問であれば、おそらく 普通列車に乗り、立ち寄っていたでしょう。

しばらく行くと、特急は乗り換えのため美濃太田駅に到着。駅から2キロ程離れたところには、有名な日本ライン下り乗船場があります。美濃太田橋から犬山城下までの木曽川ライン下りは1時間程度で、 水しぶきを浴び、夏の観光にはちょうどよいところです。

列車は美濃太田駅を定刻に出発し、右手には木曽川と飛騨川合流を遥か遠くに眺めながら、奥深い森林を進んでいきました。しばらくすると右手眼下には飛騨川を眺めつつ目的地の下麻生駅に到着しました。

無人駅の改札を抜けると、目の前にある大自然に溶け込んだ緑色の建屋の川辺バイオマス発電所が出迎えてくれました。

川辺木質バイオマス発電所

川辺木質バイオマス発電所

川辺バイオマス発電所の電気と蒸気は、大豊製紙株式会社に送電され、ダンボールの原紙製造工程に利用されています。そのうち電気以外の価値である環境付加価値を、グリーン電力証書化しています。

川辺バイオマス発電株式会社の和田社長によると、「この大自然の中でバイオマスの発電所を建設するのは、山奥であったことから苦労しましたが、木質資源の有効活用を行い、地域の方々と一緒になって循環型社会の形成に向けた取り組みを行うという判断は、正しかったと思います。」また、「平成20年2月にはグリーン電力発電設備認定を受け、グリーン電力証書化に貢献していることについて大変うれしく思っています。」というお言葉をいただきました。

燃料となる木質チップ

燃料となる木質チップ

川辺木質バイオマス発電所は、定格出力4,300kWの蒸気駆動式タービン発電機により電気と蒸気を生み出し、平成19年5月から稼動を開始しました。

燃料は純木や建築廃材等を細かく砕いた木質チップであり、大抵は県の北中部から調達しています。木質チップは、一旦敷地内にあるチップヤードで貯蔵されます。

木質チップの投入

木質チップの投入

そこから燃料投入設備に移され、蒸気ボイラ入口へと自動搬送されます。木質チップは、蒸気ボイラ入り口で燃やされ、同時に給水される水は、その熱により蒸気に変換されます。

蒸気は、タービン車室に送気され、タービンロータを回転させる運動エネルギーに変換され、同時に発電機と直結している発電ローターを回転させることで電気に変換されます。

この生み出された電気と、余った蒸気は大豊製紙工場内の乾燥工程等に利用されています。

ボイラ

ボイラ

電気と蒸気の利用のバランスがうまく取れているこの発電所を訪れて、自然エネルギーの発電の持続においては、安定した燃料の確保と、安定した電力および蒸気需要(生み出された電力と蒸気を使ってくれる工場)の確保が不可欠であるということを再認識させられました。

燃料の確保については、この地域の土地柄から周辺の間伐材や森林組合が存在するため、幸いにして安定しています。 また、需要の確保については、工場の稼動(ダンボールの生産量)次第であるが、現在のところ景気の影響はさほど受けていないようです。

発電機

発電機

さて、訪問を終え、帰路に着こうと思い、無人駅で列車を待つこと2時間。 ようやく乗車したころには、待ちくたびれ、帰りに寄ろうと考えていた日本ライン下りは、次回まで持ち越すこととしました。

車窓からきれいな風景を眺めながら、この大自然を維持し、自然エネルギー普及拡大のための循環型社会の構築と、地域活性化を実現するにはどのよいのかを考えつつ帰路に着きました。 それにしても、東京からの日帰り訪問は、朝早くから夜遅くまでのとなり、大変きつかったので、次回は1泊2日で訪問したいと思います。

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